隠岐病院の加藤一朗先生に、医学博士の学位が授与されました。

2021年3月16日
隠岐病院の加藤一朗先生に、医学博士の学位が授与されました。

隠岐病院に勤務する加藤一朗先生(自治医大卒)は、島根大学医学部医学研究科博士課程「地域医療・地域包括ケア指導者育成コース」に入学し、がんの基礎的研究に取り組まれました。この度、その研究成果が評価され、医学博士の学位が授与されました。今後、地域医療のリーダー(指導者)として、隠岐圏域における若手医師の育成を担い、地域医療の発展に大きく寄与されることが期待されます。

 

学位論文名

Menin-MLL inhibitors induce ferroptosis and enhance antiproliferative activity of auranofin in several types of cancer cells

 

要旨

Mixed lineage leukemia(MLL)遺伝子再構成が生じた急性白血病では、MLLと核内蛋白であるmeninの結合が白血化に関与していることが知られているが、近年、固形がんにおいてもmenin-MLL結合が腫瘍化に重要であることが示唆されている。本研究では、固形がんの新たな治療法を開発する目的で、ヒト乳癌、卵巣癌、膵癌、肺癌細胞株に対するmenin-MLL複合体形成阻害薬の抗腫瘍効果を検討し、以下の結果を得た。Menin-MLL複合体形成阻害薬は、ROS(活性酸素種)の産生をもたらし、鉄に依存した細胞死であるフェロトーシスを誘導した。Menin-MLL複合体形成阻害薬の細胞死誘導を促進する効果を有する10種類の抗腫瘍活性物質を検討し、そのかなでオーラノフィン(金剤;抗リウマチ薬として臨床で使用されている)が最も強力にその作用を発揮することを見出した。この促進効果は、トリプルネガティブ乳癌細胞、卵巣癌、膵癌、肺癌細胞等16中14細胞株(88%)で見られた。更に、この細胞死は、フェロトーシスによる細胞死であることを示した。

以上、menin-MLL複合体形成阻害薬 がフェロトーシスを介して固形がんに細胞死を誘導すること、更に、オーラノフィンにて細胞死誘導効果的に増強されることを明らかにした。固形がんに対する新たな治療法として、menin-MLL複合体形成阻害薬とオーラノフィンの併用の可能性が示唆される。 

International Journal of Oncology 57, 1057-71, 2020

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