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健康科学概論

堀口逸子先生『ゲームで学ぶ食品安全』

前期では1年生の医学科、看護学科共通の、人間性涵養のための講義シリーズ「行動科学」「医療倫理・プロフェッショナリズム」がありましたが、後期に入りますと、環境保健医学(公衆衛生学)の名越教授が統括をされます「健康科学概論」というコースとなり、公衆衛生や地域・社会といった観点を養う講義を展開していただいております。

今後は行動科学や医療倫理・プロフェッショナリズム同様、人間性教育として医学科は6年、看護学科は4年通して螺旋状に、すなわち毎学年やっていく、縦軸の講義シリーズとして整理整頓される予定です。統一感のあるコースを構築するため、今年は「医療倫理・プロフェッショナリズム」や「健康科学概論」の講義を出来る限り拝聴して、今後の組み立ての参考にさせていただくことにしています。

本日は歯科医師で、これまで慶応義塾大学や東京理科大学、順天堂大学など多くの大学で食の安全に関する講義してこられた堀口逸子先生による、「ゲームで学ぶ食の安全」という講義をいただきました。

まず導入としてじゃがいもを例に取り、我々が食べているもの、食物だと認識しているものの中にも、例えばじゃがいもの芽のようにある程度以上の量を摂取すると有害になる、グリコアルカロイドという物質が含まれているという話から始まりました。

グリコアルカロイドは冷蔵庫に入れると増えるので、じゃがいもは冷蔵庫に入れて保存しないように、ということの根拠になっているわけです。その後GAP(Good Agricultural Practice)やHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)という制度について教えていただき、食品のリスク管理、リスク評価といったことの具体的な方法も教えていただきました。

薬剤でもそうですが、食品でも安全性を評価するという事は、これまでに多くの実験・研究が行われた結果をもって設定されているものになります。例えば、食品添加物は嫌だ、自然のものがいい、みたいな風潮がありますけれども、食品添加物は含まれていても、人体に害を及ぼさない量がきちんと設定され、管理されているものですので、これがいわゆる「自然な食品」、どんなものがどれぐらい含まれているかよくわからないものよりも、むしろ安全であるということがあったりもするわけです。

他にも肉、生肉、ユッケ、牛肉表面に付着している菌による食中毒や、鶏肉のカンピロバクターなどのお話も、どうやったら「安全」に食べられるかという観点から解説をいただきました。

それから健康食品、いわゆる医薬品~特定保健用食品(トクホ)~栄養機能食品~機能性表示食品~その他の健康食品、の違いについて、きっちりとした定義に基づいて分類されているということも教えていただきました。果たしてサプリメントを飲むことが健康に良いのかどうか?ということを、きちんと我々は考えて摂取する必要があるということでした。また最近問題になった紅麹サプリを例にとって、どのような成分が問題になって、どのようなことがわかったか(もう既に成分も特定され、何が問題であったかがはっきりされているわけですが)を教えていただきました。

それから魚介類、特にマグロに含まれるメチル水銀のお話。これも量の問題が大いにあるわけですが、こういったことも教えていただき、基本的に食事が健康に及ぼす影響に関してのエビデンスは極めて脆弱であるという事も教えていただきました。また最後に、食品に放射線照射をするという事に関して、日本では原爆や原発事故のことがあって、放射線は忌避されていますが、放射線照射は諸外国では多く使われていて、虫の害や雑菌の害が減っているということも教えていただきました。身近な食に関して、なかなか知ることができないことを教えて頂けたと思います。堀口先生、本当にありがとうございました。

 

 

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